So-net無料ブログ作成

国立研究開発法人産業技術総合研究所の「標準玄米」試料測定 [検査機器]

「国立研究開発法人産業技術総合研究所」
が開発した「放射性セシウムを含む玄米の認証標準物質」
(以下、「標準米試料」と略す。2012年8/31から頒布)を
ZIPで測定し、ZIPの測定能力にどれほどの正確性が
あるのか検証してみました。

1.「標準米試料」とは?
玄米粒で試料量は81 g(正味質量)
放射能濃度 Cs全体 85.4 Bq/kg(2012年8/1段階)
その内訳は、Cs137が51.8、Cs134が33.6でCs全体85.4Bq/kg
となっています。
 この試料について、産総研のHPではこう書かれています。
「今回頒布する認証標準物質の放射能濃度は約85 Bq/kgであり、
厚生労働省による一般食品の放射性セシウムの基準値
(100 Bq/kg )より若干低い。そのため、検査機関が
この認証標準物質の放射能を正しく測定できれば、
基準値を超える食品の放射性セシウムの測定が
できることの確証となる」と。
つまり、測定器が正しく測れているかの大きな目安となるわけだ。

2.頒布された試料の現在の理論値(計算値)
 頒布当時Csは85.4Bq/kgだったが、経年しており
値は減少しているので、現在の推定理論値を示します。
 Csall 53.99Bq/kg  Cs134 7.32Bq/kg  Cs137 46.67Bq/kg

3.当測定器(ZIP)を使って10時間測定の結果

 20170215hyoujun-genmai-hon20h.jpg

 ZIPは検体は320gですが、標準米試料は81gです。
打ち出されている数値を重量換算する必要があります。
その結果は次の通りです。

 ZIP測定値 Csall 52.9Bq/kg  Cs134 7.50Bq/kg  Cs137 45.83Bq/kg
  計算値 Csall 53.99Bq/kg  Cs134 7.32Bq/kg  Cs137 46.67Bq/kg

下限値(ZIPでは誤差数値の3倍が下限値となる)は
本体が81gなので、重量換算して3.6Bq/kgです。測定値と
計算値との差はわずかに-2.02%です。


 検体がお米なので天然核種が妨害を行っているかも?と
考え、Cs137のカウントが1カウントしかなかった
「丹波産の白米のスペクトル」をBGにしてみました。
 スペクトル表をご覧下さい。

20170215hyoujun-genmai-hakumaibg.jpg

 空の20時間BGの時と同じように重量換算してみると
こうなります。

 ZIP測定値 Csall 53.73Bq/kg  Cs134 7.51Bq/kg  Cs137 46.22Bq/kg
 計算値  Csall 53.99Bq/kg  Cs134 7.32Bq/kg  Cs137 46.67Bq/kg

 下限値は3.6Bq/kg。その差はわずかに-1.15%になりました。
 トータル値でもマイナス1%強。標準米試料がわずか81gにも 関わらずです。手前味噌ですが、ZIPの優秀性を改めて実感した
次第です。

 このように当測定所では、この「標準米試料」の他にも
ZIP販売元のシンメトリック社が開発した「5ベクレル試料」を
定期的に測定して、機器の正確性を確認しています。

 高槻・市民測定所は「1ベクレルまで測る」ことに
拘って活動します。




世田谷の自宅にあった座布団綿とカバーからもセシウム検出 [試験検査]

 世田谷から原発事故後2年で大阪に避難された方の
検査依頼品の結果は前にお知らせしました。
 こちらを参照ください。

 さて、今回紹介するのは、原発事故以前から
平成14年1月まで世田谷のご自宅で使用していた
座布団の綿とカバーです。

1.座布団の綿

20170203setagaya-zabutonwata.jpg

 BGは空状態で20時間測定したものを使用。
 重量は49gなので重量補正、カリウムによる
かさ上げを補正して、セシウム総量は3.3Bq/kgと
なりました。
 しかし、下限値(ZIPでは、下限値はスペクトル表の
誤差表示の数値×3になります。この場合は0.2×3=0.6
ですが、重量が49gなので補正が必要)も重量補正
すれば3.9Bq/kgとなります。従って、この綿のセシウムは
下限値より少ないので「定量限界未満」と判断しました。
 しかし、いわゆる「セシウム3兄弟」のピークが明確なので
怪しい!

2.座布団カバー

 そこで、この綿を包むカバーを測定しました。
BGは空状態で20時間測定したものを使用。

20170119setagaya-zabutonkaba.jpg

 ここでもセシウム3兄弟のピークが明確です。
綿より数値も大きい。中より外の方が汚染度は
高いと納得できます。
 検体の重量は177gなので重量補正、カリウムによる
かさ上げ補正して、セシウム総量はなんと11.6Bq/kgと
なりました。ただし、下限値は(0.3×3×320÷177=)1.6Bq/kg。

 服や布に一端吸着したセシウムは簡単に
除去できないことがここでも明らかになりました。

 依頼者の感想は、「東京圏の皆さんは家屋内だから
そこまで汚染されていないだろうと思いがちですが、
決してそうではないと改めてわかった」と言われました。

 zipでは検体は320gが基本なので測定には320g
ほしいのですが、ものによればそれができないこと
もあります。しかし、少なくてもこの程度のセシウム
があるものならほぼ正確な結果を出します。

 明日は「国立研究開発法人産業技術総合研究所」
(産総研)が原発事故後の2012年8月に開発した
「放射性セシウムを含む玄米の認証標準物質」の
ZIPによる測定結果を公表します。
 

2/26(日)無料測定会 [日頃の活動]

 2月の「無料測定会」は2/26(日)13時~15時に
行います。ご希望の方は、事前にメールか
電話で申込みの上、320gの検体をお持ち下さい。
 072-669-1897 hsnk@tcn.zaq.ne.jp

2017年1月測定一覧 [測定結果]

 少し遅れましたが、新年1月の測定結果を
お知らせします。

 一覧表をご覧ください。

page001.jpg
 <1月13日の福島産白米>
 依頼された方の話では、震災前から購入していた
福島産のお米で震災後も時々食べているが、心配に
思えたので、検査に持ち込まれたそうです。

20170113hukusima-hakumai.jpg
 Cs137に数値が出ていますが、331chにピークが
ありませんので、不検出です。数値は誤検出と
考えます。下限値は0.6Bq/kg。
 結果を見た依頼者も「すっきりした」とのこと
でした。
 心配する前に気軽に測定を!

 検査品目が少なかったのでどんな測定を
しているのかその一端を<1/25大阪の松葉>の
データを見ながら説明します。

 どこのシンチレーション測定器でも必ず
測定器に何も入れず空の状態で測定したものを
バックグランド(BG)として使用します。
当測定所では20時間測定で空のBGをとります。

 そこでこの松葉の測定結果と空のBGを重ねてみます。

20170125osaka-matuba01.jpg

 土色線が空の20時間BG、赤色線が松葉です。
K40は自然界にどこでもある放射性物質です。
この数値が大きいとK40(730ch)の左側で赤線と
土色線が大きく離れているのがわかると思います。
測定結果を「かさ上げ」しているのです。
専門的には「コンプトン散乱」というそうです。

 そこで、当測定所の機器(zip)では、K40の影響を
減らすために、様々な重量の炭酸カリウム(0.3g~
6g)のBGをあらかじめ測定しておき、検査品のk40を
できるだけ相殺するようにするのです。

 この松葉の場合、「炭酸カリウム0.5gBG」を使用しました。
そのチャートをご覧ください。

20170125osaka-matuba02.jpg

 K40の値は85→10Bq/kg程度に減っています。
空のBGを使ったチャートと比べるとk40の左側の
曲線にほとんど重なっていることがわかります。
「コンプトン散乱」を限りなく捨象できたことに
なります。

 Cs137(331ch)には小さなピークがあります。
 Cs134(398ch 302ch)にはピークがありません。

 下限値は重量が少ないので換算して1.2Bq/kgです。
(もし、この松葉が規定量の320gあれば、下限値は
0.6Bq/kg) 従って、この松葉は、Cs137のピーク
があるのでCs137はあることはあるが、定量は確定できない。
つまり、「定量限界未満」(この場合は1.2Bq/kg)と
なるわけです。

 当測定所では
シンメトリック社が作成した(2015年4月)「5Bq試料」
を定期的に測定して機器(zip)の正確さを担保している
ことを最後に申し添えます。